症状固定後に納得のいく後遺障害等級を得るための重要ポイント

治療を続けるうちに、相手方保険会社から症状固定を勧められることがあります。

しかし、症状固定について理解不足のまま応じてしまうと、その後の後遺障害等級申請に大きな影響を及ぼすことになり、賠償金額で損をしてしまうリスクも出てきます。

ここでは、上手な症状固定のタイミングや納得いく後遺障害等級認定を得るための重要ポイントについて解説します。

症状固定を決定するのは保険会社ではない

多くの場合、事故とともに被害者は治療を開始し、その費用は相手方の保険会社が負担しています。

賠償金の一部として、急を要する治療費だけを先に支払う形となるのですが、一定程度の期間が経過すると、保険会社から症状固定を勧められることがあります。

保険会社としては、期間の終わりがなく治療費を負担することは決して良い流れとは言えませんので、一般的な治療期間終了のタイミングで症状固定の声かけを行うのです。

症状固定をもって治療費負担を一旦終了し、後遺障害等級申請に移って最終的な賠償金額の交渉に移行し、問題解決を目指したい意図があります。

一方、被害者にとって望ましい症状固定とは、自分自身の体の違和感がどのような状態か、医師が引き続きの治療を必要と判断するか否か、という点に基づいて判断されるべきものでしょう。

ですから、被害者が体の違和感を持ち、医師も引き続き治療を要すると判断した場合は、保険会社が症状固定を勧めてもそれに同意する必要はなく、むしろ医師の判断に従ってしっかりと怪我治療を行っていくことが優先になります。

保険会社と被害者側の思惑が異なるのはよくあることですが、だからこそ相手の言うなりになるのではなく、自分の体調について医師と十分相談の上で、正しい症状固定診断をもらうことが非常に大切なのです。

当事務所としても、まずは治療を優先させることに重きを置いて、健康保険を使って治療を続けるようアドバイスしています。

健康保険を使えば自己負担額はそこまで大きくならず、経済的損失を軽減することができますし、後遺障害等級が認定されれば治療費をまとめて相手方に請求することも可能です。

症状固定後は後遺障害等級申請を行う

事故による後遺症について後遺障害等級申請が認められると、介護を要する等級を含めて全体で16等級の中から該当する級が割り当てられます。

等級を獲得したら、加害者側に対する賠償金請求手続きに移行しますが、その際には治療費や物損分の他、逸失利益や入通院慰謝料等の諸項目についても計算し、合計額を出していくことになります。

相手方保険会社との示談交渉では自賠責保険の賠償金額がベースになりますが、自賠責保険では等級に応じた金額が定められている点に注意しましょう。

つまり、適正な等級が認められるかどうかで、相手方に請求し獲得できる金額も大きく左右されることになるのです。

後遺障害等級申請の方法には2種類あり、1つは事前認定、もう1つは被害者請求と呼ばれています。

事前認定とは?

加害者側が、自ら加入する自賠責保険に対し、被害者の後遺障害等級申請を行う方法を事前認定と呼びます。

被害者は必要書類を揃えて相手方保険会社に提出し、保険会社は自賠責保険を通して損害保険料率算出機構に申請を行います。

手続きの一切を相手方保険会社に任せることができるため、被害者の負担が少ない方法だと言えます。

被害者請求とは?

加害者が加入する自賠責保険に対して、被害者が直接、後遺障害等級申請書類を提出する方法です。

様々な検査書類や意見書などを含め、希望する等級を獲得するための書類準備や申請作業を全て自分で行い、損害保険料率算出機構とのやり取りも自らが行うことになります。

時間と手間のかかる方法ですが、手続きや流れを自分で把握することができるため、透明性の高さがメリットになると言えます。

いずれの申請方法を採ったとしても、書類を精査し等級認定するのは同じく損害保険料率算出機構です。

手続きを相手方保険会社に任せるか自己管理下に置くかの違いが主であり、提出する書類が同じであれば申請方法により認定結果が変わることはありません。

当事務所における申請方針

当事務所でも200件ほどの交通事故事件を受任してきていますが、後遺障害等級申請については事前認定を選択することが多い傾向にあります。

被害者請求を勧める弁護士もいますが、事前認定だからと言って保険会社がおかしなことをするわけではありません。被害者にとって手続きが簡略化され労が減るのであれば、事前認定はむしろ良い方法だと考えているのです。

また、インターネットを使いご自身で申請に関する情報収集を行っている方の場合、情報の誤りや古さの判断が付きにくく、また、実際の手続きや交渉における現場ならではの難しさに遭遇することもあるでしょう。

当事務所でも、自力でいろいろ試みたものの結局うまくいかず、相談時にはかなり状況が悪化しているケースも多々見られます。

わからないことを自ら調べ理解しようとすることは素晴らしいですが、賠償金に直結する問題を自力で解決するのは大変な困難を伴います。

ですから、できるだけ早期に弁護士に相談し、専門的なアドバイスを得て等級申請を行い十分な賠償金を獲得することが非常に大切なのです。

弁護士がいれば、自分では把握しきれなかった問題の全体像をよく理解できるようになりますし、弁護士を代理人とすることで相手方保険会社との対等な交渉も可能になります。

被害者として決して不利な立場にならないよう、ぜひお早めのご相談をお待ちしております。


前田 尚一(まえだ しょういち)
前田尚一法律事務所 代表弁護士
出身地:北海道岩見沢市。
出身大学:北海道大学法学部。
主な取扱い分野は、交通事故、離婚、相続問題、債務整理・過払いといった個人の法律相談に加え、「労務・労働事件、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」も取り扱っています。
事務所全体で30社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

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