平成22年(ワ)第2165号訴状
訴 状
平成22年7月2日
第1 請求の趣旨
1 被告は,原告に対し,金500万円及びこれに対する本件訴状送達の翌日から支払済みまで年5分の割合の遅延損害金を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 仮執行宣言
第2 請求の原因
1 当事者
被告は,損害保険事業を営む株式会社である。
2 保険契約の締結
訴外亡A(以下,「亡A」という。)は,被告との間で保険契約(以下,「本件契約」という。)を締結した。なお,「4 本件訴訟に至る経緯」の項で述べるとおり,原告の手元には,本件契約に関する保険証書等の文書がない。
3 保険金請求権の発生
1)平成20年12月25日午前10時38分ころ,札幌市豊平区●先路上において,亡A運転の車両が,対向車線にはみ出し,対向車線を進行していた訴外吉岡裕晃運転の車両に正面衝突する交通事故(以下,「本件事故」という。)が発生した(甲1)。
本件事故で亡Aは,腸間膜断裂による出血性ショックにより,同日午後0時5分,死亡した(甲2)。
(2)本件契約には,被保険者が交通事故を含む偶然な事故により死亡した場合には,被告より死亡保険金が死亡保険金受取人に支払われるとの約定がある。
(3)本件契約の死亡保険金は,500万円を下らない。
(4)原告は,亡Aの妻であり,相続人である(甲3)。
4 本件訴訟に至る経緯
(1)本件事故後,原告は被告に対し,保険金の支払を請求したが,平成21年8月19日付けの書面で,訴外弁護士B(以下,「訴外B」という。)が被告代理人として原告との交渉等を受任した旨の通知が原告に送付された(甲4)。
(2)そこで,原告は,原告訴訟代理人前田に本件契約に基づく保険金請求に関する処理を委任し,平成21年11月11日付け内容証明郵便で,本件契約の具体的内容及び保険金の支払額について照会した(甲5)ところ,訴外Bより,亡Aの死因が本件契約の保障対象外である糖尿病に起因する疾病先行である可能性があり,死亡保険金の支払いについて話し合いをしたい旨の書面が送付されてきた(甲6)。
(3)その後,被告側に話し合いに向けた動きは無く,平成22年3月5日,原告訴訟代理人は,話し合いを促すため,本件事故が亡Aの糖尿病が原因ではないとする医師C作成の「診療情報提供書」を訴外Bに送付し(甲7,8),さらに同年5月7日には,回答を促す旨のFAXを送信した(甲9)。
しかし,甲5号証の内容証明郵便を送付してから7ヶ月以上経過した現時点においても,いまだに被告側からは,本件契約の内容の開示はおろか,FAXに対する返答もない。
(4)原告としては,徒に争いを好むものではなかったが,原告側の度重なる照会にも応じないまま放置し,情報開示や話し合いに消極的な態度を示している状況をふまえ,訴え提起に至ったものである。
かかる経緯で訴え提起に至ったものであることを踏まえ,被告に対し,後記6の求釈明に速やかに応じるなど誠実な対応をされるよう強く要請する。
5 よって,原告は被告に対し,本件契約に基づく保険金の一部請求として,金500万円及び本件訴状送達の翌日から支払済みまで年5分の割合の遅延損害金の支払を求める。
6 求釈明
4で述べたような被告側の態度も相俟って,原告は保険契約の概要すら分からない状況であるため,被告は,本件契約の内容(死亡保険金の金額,保険金受取人等)を速やかに明らかにされたい。
原告は,現段階では死亡保険金の約定金額及び保険金の受取人等の本件契約の内容を確定できないため,一部請求として請求の趣旨記載の金額の支払いを求めているが,死亡保険金の金額等が明らかになり次第,請求の拡張を行う予定である。
証 拠 方 法
甲1 交通事故証明書
甲2 死体検案書
甲3の1乃至2 戸籍謄本
甲4 通知書
甲5 「ご通知」と題する内容証明郵便
甲6 通知書
甲7 FAX送信ご連絡票
甲8 診療情報提供書
甲9 FAX送信ご連絡票
附 属 書 類
1 訴状副本 1通
2 甲各号証 各2通
3 資格証明書 1通
4 委任状 1通
前田 尚一(まえだ しょういち)
前田尚一法律事務所 代表弁護士
出身地:北海道岩見沢市。
出身大学:北海道大学法学部。
主な取扱い分野は、交通事故、離婚、相続問題、債務整理・過払いといった個人の法律相談に加え、「労務・労働事件、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」も取り扱っています。
事務所全体で30社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。