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2016年4月 7日 平成26年3月26日民事第1部判決


札幌地方裁判所判決
平成25年(ワ)第1788号
損害賠償請求事件
平成26年3月26日民事第1部判決


       主  文

 1 被告は、原告に対し、307万1237円及びこれに対する平成24年6月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 2 原告のその余の請求を棄却する。
 3 訴訟費用は、これを2分し、それぞれを各自の負担とする。
 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

       事実及び理由

第1 請求
   被告は、原告に対し、643万9082円及びこれに対する平成24年6月3日から支払済みまで年5分の割合いよる金員を支払え。

第2 事案の概要
   本件は、原告が、被告に対し、平成24年6月3日に札幌市豊平区内で発生した交通事故(以下「本件事故」という。)により受傷し、後遺障害を負ったと主張して、自動車損害賠償保障法3条又は民法709条に基づき、643万9082円及びこれに対する本件事故の日である平成24年6月3日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
 1 前提となる事実(争いのない事実及び各項の末尾に掲記した証拠により容易に認められる事実)
 (1)本件事故の発生(甲1)
      ア 日時 平成24年6月3日午後5時10分ころ
      イ 場所 札幌市豊平区福住3条4丁目1番先路上
      ウ 原告車両 普通乗用自動車(車両番号札幌PもQ)
          運転者 原告
      エ 被告車両 普通乗用自動車(車両番号札幌RはS)
          運転者 被告
      オ 訴外車両 普通乗用自動車(車両番号札幌TふU)
          運転者 A
      カ 事故態様 上記イの場所において、被告車両が、原告車両の後方に停車していた訴外車両に追突し、前方に押し出された訴外車両が停車していた原告車両の後方に衝突した。
 (2)責任原因
    被告は、運転者として被告車両を自己のために運行の用に供していた者であり、進行するに当たっては進行方向及び左右を注視し、前方に停車中の車両等がある場合にはこれを避けるべき注意義務があるにもかかわらず、これを怠り、被告車両を訴外車両に追突させて本件事故を発生させ、原告に傷害を負わせたものであるから、自動車損害賠償補償法3条及び民法709条に基づき、本件事故により原告に生じた損害を賠償すべき責任を負う。
 (3)受傷内容及び治療経過
   ア 原告は、本件事故により頚椎捻挫、胸椎捻挫及び腰椎捻挫の傷害を負った。   イ 原告は、以下のとおり、各病院に通院し、平成25年3月28日に症状固定と診断された。
   (ア)平岡整形外科クリニック
    a通院期間 平成24年6月4日から平成25年3月28日まで
    b実通院日数 111日
      (イ)羊ヶ丘病院
    a通院期間 平成24年6月3日
    b実通院日数 1日
   (ウ)丸しん鍼灸整骨院
    a通院期間 平成24年6月3日から同年12月末日ころまで
    b実通院日数 73日
   (エ)札幌社会保険総合病院
    a通院期間 平成24年11月19日
    b実通院日数 1日
   (オ)かつら鍼灸整骨院(甲3)
    a通院期間 平成25年1月21日から同年3月30日まで
    b実通院日数 35日
 (4)後遺障害
    原告には、本件事故により頚部痛等及び腰痛の症状が残り、それぞれ局部に神経症状を残すものとして自動車損害賠償法施行令別表第二に定める後遺障害等級(以下、単に「後遺障害等級」という。)14級9号に該当し、両者を併合した結果、後遺障害等級併合14級に該当するとの認定を受けた。
 2 争点と当事者の主張
   本件の争点は、本件事故により原告に生じた損害の額である。
 (1)原告の主張
    原告には、本件事故により以下の損害が生じた。
   ア 積極損害
   (ア)治療費 132万3187円
   (イ)通院交通費 2万3661円
   (ウ)その他(装具費用及び後遺障害診断書料)1万1227円
   イ 休業損害 6万0375円
   ウ 後遺障害による逸失利益 323万6051円
     原告には、本件事故により後遺障害等級併合14級に該当する後遺障害が残ったから、労働能力喪失率は5パーセントである。また、原告は、昭和50年12月26日生まれの男性であり、症状固定後30年間にわたり稼働可能であるところ、本件事故の前年の収入は421万0183円であったから、中間利息をライプニッツ方式(30年間に相当するライプニッツ係数15.3725)により控除すると、原告の後遺障害による逸失利益は、以下の計算式のとおり、323万6051円(1円未満切捨て)となる。
   【計算式】
    421万0183円×0.05×15.3725=323万6051円
   エ 傷害慰謝料 130万0000円
     原告は、平成24年6月3日から平成25年3月30日までの301日間(延べ実通院日数221日)通院したところ、本件事故から1週間は車両を運転していても後方から別の車両が突っ込んでくるのではないかと恐怖を覚えたり、頚部の痛みにより、通院のための車両運転も苦痛であり、大きな精神的苦痛を受けたから、原告の傷害慰謝料は130万円を下らない。
   オ 後遺障害慰謝料 130万0000円
     原告には、本件事故により後遺障害等級併合14級に該当する後遺障害が残ったところ、①被告は、進行方向の信号を確認するとの極めて基本的な注意義務を怠り、漫然と進行し、信号に従って停車していた原告は、予想だにしない状態で衝突されたもので、その注意義務違反の程度は重大であり、本件事故当時に謝罪した以外には、被告から一度も連絡がなかったこと、②原告は、パチンコ店に勤務しているところ、メダルの運搬やパチンコ台の入替等の力仕事が多く、これらの作業に支障を来しており、上司から勤務評定を下げると伝えられたこと、③頚部痛がひどくなると頭痛や悪心が出たり、起床時に腰部痛がひどくなるなど私生活上の大きな苦痛を受けていることなどに鑑みれば、原告の後遺障害慰謝料は130万円を下らない。
   カ 任意保険による損害填補 139万5419円
   キ 小計 585万9082円
   ク 弁護士費用 58万0000円
     本件審理の内容及び経過等を勘案すると、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は、58万円を下らない。
   ケ 合計損害額 643万9082円
 (2)被告の主張
   ア 積極損害は認める。
   イ 休業損害は認める。
   ウ 後遺障害による逸失利益については、原告の後遺障害が後遺障害等級併合14級に該当すること、その労働能力喪失率が5パーセントであることは認め、その余は否認する。原告の本件事故前年の収入は403万2045円である。また、原告の後遺障害が今後30年にわたって原告の労働能力を喪失させるとする蓋然性は認められず、むしろ、今後の症状の改善により比較的短時間で労働能力に影響を及ぼさなくなる蓋然性が認められることからすれば、労働能力喪失期間は3年間とするのが相当である。
   エ 傷害慰謝料については、通院に係る事実は認め、その余は否認する。原告の症状には医学的な他覚所見が認められず、平成24年12月には治癒と診断されるまでに回復していたものであるから、傷害慰謝料は110万円程度が相当である。
   オ 後遺障害慰謝料は争う。
     本件において、加害者の過失が重大であるとか、加害者の事故後の態度が著しく不誠実であるなど、慰謝料の増額事由は認められないから、後遺障害慰謝料は110万円が相当である。
   カ 任意保険による損害填補の額は認める。
   キ 小計、弁護士費用及び合計損害額は否認ないし争う。

第3 当裁判所の判断
 1 積極損害
 (1)治療費 132万3187円
    当事者間に争いがない。
 (2)通院交通費 2万3661円
    当事者間に争いがない。
 (3)その他(装具費用及び後遺障害診断書料)1万1227円
    当事者間に争いがない。
 2 休業損害 6万0375円
   当事者間に争いがない。
 3 後遺障害による逸失利益 54万9003円
 (1)原告には、本件事故により後遺障害等級併合14級の後遺障害が残ったこと、その労働能力喪失率が5パーセントであることは当事者間に争いがないところ、証拠(乙3)によれば、原告の本件事故の前年である平成23年の収入は403万2045円であったことが認められる。
 (2)次に、労働能力喪失期間につき、原告は、症状固定後30年間である旨主張する。しかしながら、①原告は、本件事故直後から自覚症状として頚部痛、背部痛及び腰部痛を訴えたものの、著明な圧痛や神経学的所見はなく、レントゲン画像上も骨損傷は認められなかったこと(乙1の1)、②原告は、通院治療を受けることにより頚部痛、背部痛及び腰部痛には改善が見られ、平岡整形外科クリニックでは、平成25年3月28日に中止と診断され、丸しん鍼灸整骨院では、平成24年9月29日に背部痛につき、同年10月30日に腰部痛につき、同年12月28日に頚部痛につき、それぞれ治癒と診断されたこと(乙1の1ないし乙2の7。なお、原告は、これらの診断が保険会社からの要請によりなされたものであって、原告の症状経過について正確な経緯と捉えていないものである旨主張するが、かかる事実を認めるに足りる的確な証拠はない。)、③原告は、自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書において、著明な圧痛はなく、ジャクソンテスト、スパーリングテストは陰性であり、神経学的所見はなく、レントゲン及びMRI画像上も明らかな異常所見はないとされ、後遺障害等級認定でも、画像上、骨折等の明らかな外傷性変化は認め難く、その他診断書等からも症状の裏付けとなる客観的な医学所見に乏しいとされたこと(甲2、5)、④原告の休業期間は、本件事故直後の5日間及び平成24年11月の2日間の併せて7日間にとどまること(乙8の1、2)、⑤原告に対する治療は、マッサージや投薬、リハビリテーション等のいわゆるむち打ち症の一般的な治療法であったこと(乙6ないし7の10)に照らせば、原告の傷害は、むち打ち症であると認められる。そして、むち打ち症における痛みなどの症状については、一定期間の経過により生活上の慣れなどが生じることに鑑みると、本件における原告の労働能力喪失期間は3年間(ライプニッツ係数3.7232)と認めるのが相当である。
 (3)以上を前提に計算すると、原告の後遺障害による逸失利益は、以下の計算式のとおり、54万9003円(1円未満切捨て)となる。
 【計算式】
  403万2045円×0.05×2.7232=54万9003円
 4 傷害慰謝料 112万0000円
   原告が本件交通事故により平成24年6月3日から平成25年3月30日までの301日間(延べ実通院日数221日)通院したことは当事者間に争いがないところ、上記3のとおり、原告の傷害がむち打ち症であることに鑑みれば、その傷害慰謝料は112万円と認めるのが相当である。なお、原告は、通院等のために車両を運転する際に恐怖や苦痛を覚えたことをもって傷害慰謝料を増額すべき事由として主張するもののようであるが、傷害慰謝料とは、まさに上記のような傷害それ自体や入通院に伴う肉体的、精神的苦痛を慰謝すべきものであるから、かかる事情が存することをもって傷害慰謝料を増額すべき格別の事由ということはできない。
 5 後遺障害慰謝料 110万0000円
 (1)上記3のとおり、原告には、本件事故により後遺障害等級併合14級の後遺障害が残ったことは当事者間に争いがないところ、その後遺障害慰謝料は110万円と認めるが相当である。
 (2)この点、原告は、①被告の注意義務違反の程度が重大であり、被告から本件事故後に一度も連絡がなかったこと、②原告のパチンコ店における勤務に支障を来していること、③頚部痛による頭痛や悪心、腰部痛等があることなどをもって後遺障害慰謝料の増額すべき事由として主張するもののようである。しかしながら、①の点につき、本件事故の態様及び責任原因は、前提となる事実(1)、(2)記載のとおりであり、本件事故は、被告の前方不注視という専ら被告の過失により発生したものではあるが、その注意義務違反の程度が後遺障害慰謝料を増額すべきほどに重大又は悪質なものであるとはいえず、また、仮に被告から本件事故後に一度も連絡がなかったとしても、直ちに後遺障害慰謝料を増額すべき事由とはいい難い。また、②、③の点については、後遺障害による勤務への影響は、後遺障害による逸失利益として損害として評価していることに加え、そもそも後遺障害慰謝料とは、まさに上記のような後遺障害による肉体的、精神的苦痛を慰謝すべきものであるから、かかる事情が存することをもって後遺障害慰謝料を増額すべき格別の事由ということはできない。
 6 小計 279万2034円
   上記1から5までの金額を合計すると418万7453円となるところ、原告が任意保険会社から139万5419円を受領したことは当事者間に争いがなく、原告は、これは損害額元本に充当しているから、これを控除すると、279万2034円となる。
 7 弁護士費用 27万9203円
   原告が本件事故により被った損害と相当因果関係のある弁護士費用は、27万9203円と認めるのが相当である。
 8 合計額 307万1237円

第4 結論
   以上によれば、原告の請求は、主文第1項の限りにおいて理由があるからこれを一部認容し、その余は棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法64条本文、61条を、仮執行宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。なお、仮執行の免脱宣言の申立てについては、相当でないからこれを付さないこととする。

裁判官 渡邉哲 



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