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2016年3月 2日 本件の争点は、本件事故による原告の損害額である。頚椎捻挫、腰椎捻挫、左股関節捻挫及び左膝打撲の傷害

札幌地方裁判所判決
平成25年(ワ)第2542号
損害賠償請求事件
平成26年12月26日民事第1部判決


            主 文

 1 被告は、原告に対し、398万0969万及びこれに対する平成23年11月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 2 原告のその余の請求を棄却する。
 3 訴訟費用は、これを20分し、その9を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

       事実及び理由

第1 請求
   被告は、原告に対し、892万6111円及びこれに対する平成23年11月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
   本件は、原告が、平成23年11月28日に札幌市東区伏古9条3丁目所在の交差点において発生した、原告が運転する普通乗用自動車(以下「原告車両」という。)と被告が運転する普通乗用自動車(以下「被告車両」という。)とが衝突した交通事故(以下「本件事故」という。)により頚椎捻挫等の傷害を負い、自動車損害賠償保障法施行令別表第2に規定する後遺障害等級(以下、単に「後遺障害等級」という。)14級に該当する後遺障害を負ったと主張して、被告に対し、自動車損害賠償保障法3条又は民法709条に基づき、892万6111円及びこれに対する本件事故の日である平成23年11月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である、

 1 前提となる事実(争いのない事実のほか、各項に掲記した証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実)
  (1)本件事故の発生(甲1、2、乙1の3)
  ア 日時 平成23年11月28日午前7時2分ころ
    イ 場所 札幌市東区伏古9条3丁目1番先交差点(以下「本件交差点」という。)
    ウ 原告車両 普通乗用自動車(札幌503す8355)
        運転者  原告
    エ 被告車両 普通乗用自動車(札幌301や4382)
        運転者  被告
    オ 事故態様 原告車両が青信号に従って本件交差点を国道274号線方面から市道北24条通方面に向けて直進中、被告車両が右方道路から赤信号を看過して進入してきたため衝突した。
    カ 責任原因 被告は、本件事故当時、被告車両を自己のために運行の用に供していた者であり、かつ、被告車両を進行させるに当たり、進行方向の信号を確認すべき注意義務があるのに、これを怠った過失により本件事故を発生させたものであるから、自動車損害賠償保障法3条又は民法709条に基づき、本件事故から生じた損害を賠償する責任を負う。
  (2)原告の受傷内容及び治療経過
    ア 原告は、本件事故により頚椎捻挫、腰椎捻挫、左股関節捻挫及び左膝打撲の傷害(以下「本件傷害」という。)を負った。
    イ 原告は、本件傷害の治療のため、以下のとおり、各病院に通院した。
   (ア)勤医協中央病院
      a通院期間 平成23年11月28日
      b実通院日数 1日
   (イ)札幌清田整形外科病院
    a通院期間 平成23年11月29日ないし平成24年8月2日
    b実通院日数 83日
  (3)原告の後遺障害(甲4)
      原告は、本件傷害につき、平成24年8月2日をもって症状固定と診断されたが、頚部痛の症状が残り(以下「本件後遺障害」という。)、局部に神経症状を残すものとして、後遺障害等級14級9号に該当するとの認定を受けた。
    
 2 争点とこれに対する当事者の主張
   本件の争点は、本件事故による原告の損害額である。
  (1)原告の主張
     原告には、本件事故により以下の傷害が生じた。
    ア 積極損害
     (ア)治療費 72万5083円
     (イ)通院交通費 3万1430円
    イ 休業損害 56万9715円
    ウ 後遺障害による逸失利益 489万1766円
    【計算式】
      809万5400円×5%×12.0853=489万1766円
      (ア)基礎収入
         本件事故の前年である平成22年の原告の年収は、263万3445円であったが、原告は、平成20年9月に転職するまでは毎年800万円以上の収入を得ており、これは年齢別平均賃金とも遜色のないものであるから、原告の基礎収入は、平成22年賃金センサス男子大卒45歳ないし49歳の平均年収額である809万5400円とすべきである。
      (イ)労働能力喪失率
         原告は、本件事故当時48歳(昭和38年8月31日生まれ)の健康な男子であったが、本件事故により後遺障害等級14級に該当する本件後遺障害を負ったから、その労働能力喪失率は5パーセントである。
      (ウ)労働能力喪失期間
         本件後遺障害には頚部椎間板ヘルニア(C6/7)という客観的所見が存在すること、後遺障害等級14級の神経症状であってもその影響は5年以上継続すること、本件事故から2年以上経過しても頚部痛の症状が解消されていないことからすれば、労働能力喪失期間は67歳までの19年間とすべきであり、これに対応するライプニッツ係数は12.0853である。
    エ 通院慰謝料 140万0000円
      原告の本件事故による通院期間は249日間に及ぶことから、通院慰謝料は140万円を下らない。
    オ 後遺障害慰謝料 150万0000円
      原告は、後遺障害等級14級に該当する本件後遺障害を負ったところ、原告は、①青信号に従って進行中、突然右方から衝突されたものであり、その精神的ショックは計り知れないこと、②日常生活や仕事に様々な支障が生じていること、③症状固定後も週に1、2回通院していることなどの事情を勘案すると、後遺障害慰謝料は150万円を下らない。
    カ 損害の填補 100万1883円
    キ 弁護士費用 81万0000円
      本件審理の内容及び経過等を勘案すると、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は81万円を下らない。
    ク 合計 892万6111円
  (2)被告の主張
    ア 積極損害
        いずれも認める。
    イ 休業損害
        認める。
    ウ 後遺障害による逸失利益
     (ア)基礎収入
        原告の現在の職場における給与実態、原告の就労内容、雇用条件及び年齢等に照らせば、今後、原告が平成22年賃金センサス男子大卒45歳ないし49歳の平均年収額である809万5400円を得られるという高度の蓋然性は到底認めることができない。
     (イ)労働能力喪失率
        原告が本件事故により後遺障害等級14級に該当する本件後遺障害を負ったこと、その労働能力喪失率が5パーセントであることは認める。
     (ウ)労働能力喪失期間
        本件後遺障害は、器質的損傷を伴わない神経症状であって、その労働能力喪失期間は長くとも5年を超えないというべきである。
    エ 通院慰謝料
        争う。
    オ 後遺障害慰謝料
      原告が本件事故により後遺障害等級14級に該当する本件後遺障害を負ったことは認めるが、その余は不知ないし争う。
    カ 損害の填補
        認める。
    キ 弁護士費用
        争う。
    ク 合計
        争う。

第3 当裁判所の判断
 1 前提となる事実に加え、証拠(甲27、35、原告本人のほか、各項に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
  (1)原告の経歴等
    ア 原告は、昭和38年8月31日生まれの男性であり、昭和61年3月にA大学理学部を卒業し、B株式会社に入社した後、平成元年5月、アレルギー検査薬の製造・卸販売等を行うC株式会社(以下「C社」という。)に転職した。(甲6、14)
    イ 原告は、C社において、医師や検査技師に対する医薬品の情報提供を行うことを主たる業務とし、医薬情報担当者の資格を取得するとともに、臨床検査薬情報担当者継続教育研修課程を修了した。(甲14、1 5)
    ウ 原告は、平成20年9月、C社が原告の配属先である札幌営業所の廃止を決め、転勤を打診されたが、同社の処遇等に対して不信感を抱いたこと、札幌に自宅があること、子供が障害を持つことなどから、これを断り、C社を退職した。
    エ 原告は、そのころ、複数の会社から転職の誘いを受けたが、いずれも配属先が東京であったことから、これらを断った。
    オ 原告は、平成20年10月、労働者の派遣等を行うD株式会社に入社し、平成22年3月に同社を退職するまで、派遣社員として、学習教材の電話セールスを行っていた。(甲14)
  (2)原告の本件事故当時の勤務状況等
    ア 原告は、平成22年4月、臨床検査薬の卸販売等を行うE株式会社(以下「E」という。)の役員に誘われ、同社に契約社員として入社した。(甲19)
    イ 原告は、Eにおいて、営業推進室に配属され、同社としては新たな試みである医師や検査技師に対する臨床検査薬の情報提供活動を行うことを主たる業務とし、札幌近郊のみならず、道内各地の病院等に出向き、営業活動を行っていた。
    ウ 原告の給与は、毎年度末に、その売上高等を参考として、原告と同社の社長及び専務との話合いにより決定された。
  (3)原告の本件事故後の勤務状況等
    ア 原告は、平成23年12月25日ころ、職場に復帰したが、本件傷害ないし本件後遺障害による頚部痛等の症状のため、長時間にわたり自動車に乗り続けることが困難となり、道内各地の病院等に出向くことが困難となった。
    イ 原告は、Eに契約社員として入社したが、その後の勤務成績次第では正社員になることができるとの話があったが、本件事故による長期間にわたる欠勤や札幌近郊以外での営業成績が上がっていないことなどを理由に正社員としての採用は見送られ、現在に至る。
 (4)原告の収入状況
    ア 原告のC社に在職中の収入は、以下のとおりである。
   (ア)平成16年分 862万8606円(甲13)
  (イ)平成17年分 876万4794円(甲12)
   (ウ)平成19年分 831万1002円(甲11)
   (エ)平成20年分 637万4186円(ただし、同年1月ないし9月の9か月分)(甲23)
    イ 原告のEに入社した後の収入は、以下のとおりである。
   (ア)平成22年分 263万3445円
   (イ)平成23年分 327万5546円(甲20、21)
   (ウ)平成24年分 327万0000円(甲22)
   (エ)平成25年分 414万6668円(甲25)
 2 以上の事実に基づき、本件事故による原告の損害額を検討する。
(1)積極損害
      ア 治療費 72万5083円
          当事者間に争いがない。
      イ 通院交通費 3万1430円
        当事者間に争いがない。
(2)休業損害 56万9715円
    当事者間に争いがない。
(3)後遺障害による逸失利益 114万6624円
      ア 基礎収入
   (ア)上記1(3)で認定した事実によれば、原告の本件事故後の収入については、本件傷害及び本件後遺障害の影響により売上高が上がらず、正社員としての採用が見送られたため低額となっており、本件事故に遭わなければ、より高額の給与を得られたであろう相当程度の蓋然性は認められるものの、原告の給与は、売上高等を参考として、原告とEの社長及び専務との話合いにより決定されるが(同(2)ウ)、原告の給与とその売上高との具体的な相関関係等は不明であり、正社員として採用された場合における給与額等も明らかではない。そして、原告のEに入社した後の収入は、同(4)イのとおりであって、本件事故の前後を通じて、賃金センサス男子大卒年齢別平均年収額を大きく下回っている。もっとも、原告は、医薬情報担当者や臨床検査薬情報担当者の資格を有し(同(1)ア、イ)、C社に在職中は賃金センサス男子大卒年齢別平均年収額と比較しても遜色のない収入を得ていた上(同(4)ア)、本件事故後にもかかわらず、平成25年分の収入は増加しており(同(4)イ),今後も一定程度の収入が増加する蓋然性が見込まれ、本件傷害及び本件後遺障害の影響がなく、正社員として採用されていれば、さらに収入が増加していた可能性が高い。これらの事情を総合考慮すると、原告の基礎収入は、症状固定時である平成24年賃金センサス男子学歴計全年齢平均年収額である529万6800円と認めるのが相当である。
   (イ)これに対し、原告は、平成22年賃金センサス男子大卒45歳ないし49歳の平均年収額である809万5400円を基礎収入とすべきである旨主張する。しかし、Eにおける原告の収入は、上記1(4)イのとおりであって、本件事故の前後を通じて、平成22年賃金センサス男子大卒45歳ないし49歳の平均年収額の約3分の1ないし2分の1にとどまっており、売上高の上昇や正社員として採用されることによる給与の増額がなされたとしても、従前の給与が2倍ないし3倍にまで増額されることは容易に想定し難く、原告が平成22年賃金センサス男子大卒45歳ないし49歳の平均年収額を得られたであろう相当程度の蓋然性までは認められない。
    イ 労働能力喪失率
    前提となる事実(3)のとおり、本件後遺障害は、後遺障害等級14級に該当する頚部痛の症状であるところ、その症状の部位や程度等に照らし、労働能力喪失率は5パーセントと認めるのが相当である。
    ウ 労働能力喪失期間
      前提となる事実(3)のとおり、本件後遺障害は、後遺障害等級14級に該当する頚部痛の症状であるところ、その症状の部位や程度等のほか、原告は、症状固定から約2年が経過してもなお症状が継続し、週に1、2回の通院治療を受けていること(甲27、原告本人)など一切の事情を考慮すると労働能力喪失期間は5年間と認めるのが相当であり、これに対応するライプニッツ係数は4.3295である。なお、原告は、本件後遺障害には頚部椎間板ヘルニア(C6/7)という客観的所見が存在する旨主張するが、本件全証拠によっても上記頚椎椎間板ヘルニアが本件後遺傷害の症状にいかなる影響を及ぼしているかは明らかではなく、上記椎間板ヘルニアが本件事故により生じたものであると認めることもできない。
(4)小括
   以上によれば、原告の本件後遺障害による逸失利益は、以下の計算式のとおり、114万6624円(1円未満切捨て)となる。
      【計算式】
     529万6800円×5%×4.3295=114万6624円
 3 通院慰謝料 105万0000円
   前提となる事実(2)のとおり、原告は、本件事故により頚椎捻挫、腰椎捻挫、左股関節捻挫及び左膝打撲の傷害(本件傷害)を負い、その治療のため本件事故の日である平成23年11月28日から症状固定と診断された日である平成24年8月2日までの249日間にわたり通院し、その間の実通院日数は84日であるところ、本件傷害の内容及び程度、通院期間及び頻度等に照らし、その通院慰謝料は105万円と認めるのが相当である。
 4 後遺障害慰謝料 110万0000円
   前提となる事実(3)のとおり、本件後遺障害は、後遺障害等級14級に該当する頚部痛の症状であるところ、その症状の部位や程度等のほか、原告は,症状固定後も週に1、2回の通院治療を受けており、自動車の運転その他の日常生活に一定の支障が生じていること(甲27、原告本人)など一切の事情を考慮すると、その後遺障害慰謝料は110万円と認めるのが相当である。
 5 損害の填補額 -100万1883円
   原告が本件事故による損害のうち100万1883円の填補を受けたことは当事者間に争いがなく、原告は、本訴において、これを損害額元本に充当しているから、上記1ないし5の合計金額からこれを控除することとする。
 6 弁護士費用 36万0000円
   原告が本訴の追行を訴訟代理人弁護士に委任したことは当裁判所に顕著であるところ、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は36万円と認めるのが相当である。
 7 損害額
   以上によれば、原告の本件事故による損害額は398万0969円となる。

第4 結論
     よって、原告の請求は、主文第1項の限りで理由があるから一部容認し、その余は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法64条本文、61条を、仮執行宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
    
裁判官 渡邉哲



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