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2016年3月 2日 過失割合(争点①) ・損害(争点②)左大腿骨転子部骨折、骨盤骨折、外傷性腸間膜損傷、肝損傷、出血性ショック、腹壁瘢痕ヘルニアの傷害

交通事故に基づく損害賠償請求事件
札幌地方裁判所判決
平成26年(ワ)第1551号
損害賠償請求事件
平成27年2月17日民事第2部判決


       主  文

 1 被告は、原告に対し、455万0113円及びこれに対する平成23年8月10日から支払い済みまで年5年の割合により金員を支払え。
 2 原告のその余の請求を棄却する。
 3 訴訟費用は、これを5分し、その3を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

       事実及び理由

第1 請求
   被告は、原告に対し、1214万0605円及びこれに対する平成23年8月10日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
   本件は、後記前提事実(1)の交通事故(以下「本件事故」という。)につき、原告が、被告に対し、民法709条、自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)3条に基づき、1214万0605円の損害賠償及びこれに対する本件事故日である平成23年8月10日から支払い済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

 1 前提事実
    (1)本件事故の発生
        ア 日時 平成23年8月10日午後7時15分頃
        イ 場所 札幌市北区北24条西9丁目1番駐車場付近(以下「本件事故現場」という。)
        ウ 態様 本件事故現場において、被告運転の普通乗用自動車(車両番号:札幌Vさ・Z号。以下「被告車両」という。)が、原告に衝突し、さらに原告を轢過した。
    (2)責任原因
     被告は、本件事故当時、運転者として被告車両を自己のために運行の用に
共していた者であり、かつ、本件事故現場において進行するにあたっては、歩行者等の有無を確認しつつ進行すべき義務があるのに、これを怠った過失により本件事故を発生させた。
    (3)原告の受傷
       本件事故により、原告は、左大腿骨転子部骨折、骨盤骨折、外傷性腸間膜損傷、肝損傷、出血性ショック、腹壁瘢痕ヘルニアの傷害を負った。
    (4)原告の治療経過
       原告は、本件事故による上記(3)の傷害の治療のため、本件事故日から平成25年8月21日まで、以下のとおり、市立札幌病院に入通院した。
        ア 入院(総入院日数86日間)
            平成23年8月10日から同年10月23日まで(75日間)
            平成25年2月27日から同年3月9日まで(11日間)
    イ 通院(総通院期間657日間、通院実日数22日間)
      平成23年10月24日から平成25年8月21日まで
  (5)原告の後遺障害
     原告が受けた傷害については、平成25年8月21日に症状固定と診断されたが、原告には、以下のとおり後遺障害が残存し、これらは自賠法施行令別表第2併合第11級に該当する。
    ア 左大腿骨転子部骨折後の左股関節の機能障害(12級7号)
    イ 胸腹部臓器の障害(併合12級)
     (ア)胆のうの障害(13級11号)
     (イ)小腸の障害(13級11号)
     (ウ)大腸の障害(13級11号)
    ウ 左大腿骨転子部古拙後の左下肢の短縮障害(13級8号)

 2 争点
  (1)過失割合(争点①)
  (2)損害(争点②)

 3 争点に関する当事者の主張
  (1)争点①(過失割合)について
    【被告の主張】
      本件事故現場にあるスーパー(以下「本件スーパー」という。)の駐車場(以下「本件駐車場」という。)を警備していた原告は、本件事故発生時刻である平日午後7時過ぎ頃において、駐車場出入口付近における買い物客の車両の通行が頻繁であることを十分に予想して然るべくである。そして、通常であれば、車両との接触、衝突の危険性が高駐車場出入口付近でしゃがんだ状態で作業をしている人が存在することなどあり得ないのであるから、警備員である原告がしゃがんで作業をする際には、カラーコーンや板を設置するなどして通行する車両に対し注意喚起を行うべきである。しかしながら、原告は、身長153センチメートルと小柄で、警備員の制服にも夜間目立つような反射板等も付いていないにもかかわらず、上記注意喚起の表示行為も講じずに、被告車両から視認困難なしゃがんだ状態で作業していたことからすれば、原告には少なくとも3割の過失が存在する。
    【原告の主張】
      以下の各事情からすれば、本件事故において原告に過失がないことは明らかである。
    ア 本件事故時の原告の服装は、会社から支給されていた明るい水色を基調とする警備用の服である(甲12)
        イ 本件事故現場は、街路灯が設置され、スーパーアークス駐車場内は照明設備により明るい状態であった。
        ウ 本件事故直前、原告は、被告に対し手を振って自身の存在を知らしめたが、進行方向右側の歩行者に気を取られていた被告(乙6の3枚目)は、原告の存在に全く気付かずに原告を轢いたものである。本件事故現場は、駐車場の入口であり、進行する自動車の速度も通常は時速10キロも超えない程度のはずであるから、手を振って自身の存在を知らしめれば、事故の発生はあり得ない場所である。
        エ 被告は、道路外の施設である本件スーパーの駐車場に歩道を横断して進行するものであるから、道路交通法第17条1項ただし書、同条2項により、歩道に進入する前に一時停止しなければならないが、被告は一時停止をしていない。
        オ 被告は、本件事故直前の被告車両からの視認状況が悪かったと主張するが、視界が妨げられる事情があるのであれば、より一層、歩行者等の存在を慎重に確認すべき注意義務を導くことはできても、歩行者の過失を根拠付けることはできない。
    (2)争点②(損害)について
        【原告の主張】
        ア 治療費(1112万7103円)
          原告は、本件事故による傷害の治療費として、1112万7103円を支出した。
        イ 入院雑費(12万9000円)
          原告は、前記前提事実(4)アのとおり、合計86日間入院した。1日あたりの入院雑費は1500円が相当である。
        (計算式)1500円×86日=12万9000円
        ウ 通院交通費(9万2760円)
          原告は、事故日から症状固定日まで、通院交通費として9万2760円を支出した。
        エ 文書料(8080円)
          原告は、平成26年4月14日に、後遺障害診断書の文書料として8080円を支出した。
        オ その他(35万5160円)
          原告は、上記アないしエのほかに、本件事故に起因して35万5160円を支出した。
        カ 休業損害(376万7753円)
          原告は、本件スーパーの警備員の仕事を行っており、本件事故による受傷のため376万7753円の休業損害が生じた。
        キ 後遺障害による逸失利益(159万6755円)
          原告は、本件事故当時73歳(昭和13年4月23日生)の健康な男性であり、心身とも問題なく上記カのとおり稼働して、事故前年には157万2848円の収入を得ていた。原告は、本件事故に遭わなければ、症状固定後、少なくとも平均余命の2分の1である6年間(ライプニッツ係数5.076)にわたり稼働が可能であったところ、本件事故により後遺障害が残存し、労働能力の20パーセントを喪失した。
        (計算式)157万2848円×20%×5.076=159万6755円
        ク 傷害慰謝料(250万0000円)
            原告は、症状固定日である平成25年8月21日までの間、前記前提事実(4)のとおり入院及び通院治療をした。その精神的苦痛は250万円を下らない。
        ケ 後遺症慰謝料(700万0000円)
          以下の各事情を踏まえると、後遺症慰謝料の額は700万円を下らない。
         (ア)原告の後遺障害の内容
            原告の後遺障害の内容は前記前提事実(5)のとおりである。
         (イ)原告が重傷を負ったこと
            原告は、被告車両に対して合図をしたにもかかわらず、被告はこれに気が付かず、原告を被告車両の後輪で巻き込んだ。本件事故により、原告は、胆のう、小腸、大腸等の臓器を摘出する重傷を負い、市立札幌病院に救急搬送された際には腹腔内出血によるショック状態であったが、この際の原告の恐怖は想像を絶するものである。
         (ウ)原告の平穏な余生が奪われたこと
            原告は、仕事熱心な人間であり、なによりも働くことに生きがいを感じていた。また、原告は、ドライブも趣味であったが、本件事件による後遺障害のため運転をすることができなくなり、自動車運転免許も返上した。事故当時、原告は73歳であっても健康体であり、働くことも、ドライブをすることもまだまだ継続していくことが生きがいであったにもかかわらず、本件事故により、今後の余生で最も楽しみにしていた生きがいを2つ失い、それだけでなく、日常生活でも杖をついて歩行しなければならないなど、本件事故に基づき後遺障害の存在によって原告の受けた精神的苦痛は計り知れない。
         (エ)被告から、退院後、電話一つないこと
            被告は、原告の入院中は、病院に訪れていたようであるが、原告が退院した後、来訪して謝罪するどころか、電話一つ寄こさず、原告及び妻としては、被告の誠意は一つも感じられない。
        コ 損害の填補(1554万6006円)
          原告の損害のうち、任意保険から1554万6006円が填補された。
        サ 弁護士費用(111万円)
          本件事故と相当因果関係にある弁護士費用は、111万円を下らない。
        
        【被告の主張】
        ア 治療費
            認める。
        イ 入院雑費
            否認ないし争う。1日あたりの入院雑費は1100円が相当である。
        ウ 通院交通費
            認める。
        エ 文書料
      認める。
        オ その他(35万5160円)
            認める。
        カ 傷害慰謝料
           争う。入院期間を除く原告の実通院日数は約1年10か月の間にわずか22日のみであり、傷害慰謝料は115万円を上回ることはない。
        キ 後遺症慰謝料
            争う。
        ク 損害の填補
            認める。

第3 争点に対する判断
 1 争点①(過失割合)について
  (1)認定事実
     掲記の証拠によれば、本件事故の具体的態様等は以下のとおりであると認められる。
        ア 被告は、被告車両(トヨタ・ヴァンガード)を運転して本件スーパーに向かい、進行していた道路を左折し、幅員約4メートルの 歩道を横断して、本件駐車場に入ろうした(乙1、6、7)。
        イ 一方、本件駐車場の警備員をしていた原告(慎重153センチメートル)は、水色の制服を着て、本件事故直前、本件駐車場入口の中央付近にしゃがみ込んで、歩道との境界に設置されている支柱の穴に詰まった泥等を取り除く作業をしていた(乙3、5)
        ウ 被告は、被告車両を減速させて本件駐車場に入るための左折を開始し、その際、歩道上の通行人を確認したものの、本件駐車場入口に対する確認が不十分であったために原告の存在に気付かずに本件駐車場に向けて被告車両を進行させ、本件事故を発生させた(乙1、6、7)。
        エ 本件事故当時、すでに日の入り時間を過ぎていたが(甲8)、本件事故現場は街路灯やスーパー駐車場の照明設備によって明るい状態であった(乙1)
    (2)検討
        ア 上記認定事実のとおり、本件事故が、基本的には、被告が、道路から左折して本件駐車場に進入するにあたり、本件駐車場入口付近に対する前方確認が不十分なまま被告車両を進行させた過失によって生じたものであることは明らかである。
        イ もっとも、本件事故現場である本件駐車場の入口は、車両の進行が当然に予定されている場所であり、また、平日の午後7時15分という本件事故発生の時間帯からして、本件スーパーで買い物をしようとする者の往来が相当程度見込まれるところ、本件駐車場の警備員をしていた原告は、このことを十分に把握していたということができる。そして、かかる車両の進行が当然に予定されている場所においてしゃがみ込んだ場合、車両の運転手にとって歩行者などよりも気付きにくい存在になることは、容易に予想しうるところである。そうすると、原告において、本件駐車場入口においてしゃがみこんだ体制で作業を行おうとする場合には、本件駐車場に入ろうとする車両の動静を常に予見、警戒し、自らの安全を確保すべき義務があったというべきである。それにもかかわらず、原告は、被告車両に衝突する直前まで被告車両に気付かなかったというのであり(乙5)、原告には、かかる注意義務に違反した過失があるというべきである。
        ウ 以上のとおり、本件事故は、原告にも過失の認められる事故ではあるが、①そもそも本件事故は、被告において、被告車両の進路に対する通常の確認義務を行っていれば、当然にその発生を避けることができたものであるといえること、②駐車場においては、人々の往来が多く、運転者には高度の前方注視義務や徐行義務が要求される上に、本件事故の発生した地点が、歩行者の保護が絶対的である歩道との境界付近であることといった事情を踏まえると、本件事故における被告の過失は原告の過失に比べて著しく大きいものであったというべきであり、その過失割合は、被告85パーセント、原告15パーセントと考えるのが相当である。
        エ この点、被告は、左折する直前に左方に存在した植え込みや、被告車両の左フロントピラーが障害となって、本件事故現場でしゃがんでいた原告の存在は認識し得なかったと主張する。原告がしゃがんでいたという事情は、上記イのとおり本件において原告の過失の基礎事情として考慮しているが、上記被告の主張が、さらに、被告車両からの視認状況が悪かったことを踏まえて被告の過失割合の軽減すべきと主張するものであれば、これは、車両一般に存在する死角の存在を前提に運転すべき被告の注意義務を原告に転嫁しようとするものであり、採用できない(なお、左方に存在した植え込みに至る手前の地点からは、被告車両から本件駐車場入口の状況が明確に確認しうる(乙13、14)。)また、被告は、カラーコーンや板を設置するなどして通行する車両に対し注意喚起を行うべきであったとも主張するが、原告は、支柱の穴に詰まった泥等の除去するという短時間で終わる作業を行おうとしていただけであり、そこまでの措置を講じるべきであたとはいえない。
        オ 他方、原告は、被告に対し手を振って自身の存在を知らしめたと主張するが、上記のとおり、原告が被告車両の存在に気付いたのは衝突の直前であったと認められるから、本件事故の過失割合を検討するにあたって考慮すべき事情にはならないというべきである。また、原告は、被告が歩道に進入する前に一時停止を怠ったと主張するが、被告に対する取調において、一時停止の履行の有無が確認された形跡はうかがわれず、被告の供述調書(乙6、7)によって被告が一時停止を怠ったと認定することはできないし、仮に、被告が一時停止を怠っていたとしても、一時停止すべき地点からは、しゃがんだ状態の原告がすでに被告車両の死角に入っていたものとうかがわれ(乙13、14)、一時停止の有無によって本件事故発生の可能性が左右されたとは考えられない。
    (3)結論
       以上によれば、本件事故における過失割合は、被告85パーセント、原告15パーセントであると認められる。
 2 争点②(損害)について
    (1)検討
        ア 治療費(1112万7103円)
          本件事故と相当因果関係のある原告の治療費は、当事者間に争いがない。
        イ 入院雑費(12万9000円)
          前記前提事実(4)アのとおり、原告の入院日数は合計86日間であるところ、1日あたりの入院雑費は1500円とするのが相当である。
        (計算式)1500円×86日=12万9000円
        ウ 通院交通費(9万2760円)
          本件事故と相当因果関係のある原告の通院交通費は、当事者間に争いがない。
        エ 文書料(8080円)
          本件事故と相当因果関係のある原告の文書料支払いは、当事者間に争いがない。
        オ その他(35万5160円)
          原告が、上記アないしエのほかに、本件事故と相当因果関係のある費用として35万5160円を支出したことは、当事者間に争いがない。
        カ 休業損害(376万7753円)
          被告は、原告に生じた休業損害について争うことを明らかにしていないことから、これを自白したものとみなす。
        キ 後遺障害による逸失利益(159万6755円)
          本件事故による原告の後遺障害逸失利益は、原告の主張するとおりであると認められる。
        ク 傷害慰謝料(188万円)
          原告入院期間や実通院日数のほか、原告が本件事故によって負った傷害の内容、程度や、原告に対する治療内容等と踏まえると、傷害慰謝料は188万円とするのが相当である。
        ケ 後遺症慰謝料(420万円)
          原告の後遺障害の程度(前記前提事実(5))のほか、原告の主張する事情など本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件事故により原告に残存した後遺障害に対する慰謝料は420万円とするのが相当である。
    (2)上記アないしケの合計は2315万6611円であるところ、上記1で 検討したとおり、本件事故については原告にも15パーセントの過失があると認められ、これを過失相殺すると1968万3119円となる。
    (3)原告は、任意保険から1554万6006円の支払を受けているところ、上記(2)の金額からこれを控除すると413万7113円となる。
    (4)弁護士費用
       本件事案の内容、審理の経過、認容額等の事情を踏まえると、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は41万3000円とするのが相当である。
    (5)原告の損害額のまとめ
       以上によれば、原告が被告に対して請求できる損害額は455万0113円となる。
    
第4 結論
   よって、原告の請求は、主文の範囲内で理由があるのでこれを認容し、その余の請求は理由がないのでこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条、64条本文を、仮執行の宣言につき同法259条1項を、それぞれ適用して、主文のとおり判決する。なお、仮執行免脱宣言の申立てについては、その必要が認められないから却下する。

裁判官 郡司英明



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