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2016年1月16日  「逸失利益について」に対する反論等」「葬儀費等について」に対する反論等・「過失相殺率について」に対する反論等

 答弁書「第3 被告の主張について」に対する反論等は,以下のとおりである。なお,略語等は,本書面で新たに用いるもののほか,従前の例による。

第1 「1 逸失利益について」に対する反論等
 1 同について
     亡Aの役員報酬については,数年間の推移を見たとしても,いずれもその年額は840万円であって(甲14,16,18ないし21),平成18年度の役員報酬を基礎に算定した場合と異ならない。

 2  同について
     会社役員の報酬については,理論上,労務対価部分のほか利益配当部分を観念でき,利益配当部分は基礎収入としないと考えるとしても,本件の諸事情に照らすと,亡Aが死亡当時得ていた収入は,すべて亡Aの労務の対価であると評価するのが相当である。
   会社役員の逸失利益は,基本的には一般の給与所得者の場合と同様,現実の給与ないし役員報酬を基準として算出されるが,小規模会社の場合には,役員の報酬の中に実質的に利益配当部分が含まれることがあるところから,逸失利益の算定の基礎収入からその分を控除すべきであるとする裁判例が少なくない。
       しかしながら,そのように考える実際上の理由は,被害者が中小企業の役員である場合には,役員報酬額が過大である場合が見られたり,中小企業においては法人税を節税するため役員報酬を増やして利益を圧縮する操作がされている場合もあり(役員報酬は原則として損金扱いできる。),本来株主として会社の利益に応じた利益配当として受領すべき部分を適正に報酬から減額するのが適切であると考えられる場合があるからである。
       したがって,会社の業績,稼働状況,報酬額,他の役員の年収等に照らし,不相当に高額でないときは,現実の報酬額を基礎とすることができるというべきである。
       会社の代表取締役の死亡による逸失利益について現実の報酬額を基礎として算定された事例として,札幌地判平成9年1月10日(判タ990号228頁)がある。
       ちなみに,上記事件において,被告は東京地判昭和53年6月29日(交民11巻3号903頁)と東京地判平成7年1月26日(自保ジャーナル1113号)を引用した。しかし,前者は,役員であった被害者が管理者的仕事を担当していたとしても,他の従業員(縫い子)との稼働能力との間に数倍もの格差があったとは考えられないという事案であって,収入額が過大であり,法人税を節税するため役員報酬を増やして利益を圧縮していると見られ,被害者の稼働能力,他の従業員との対比から,役員報酬中の利益配当部分が容易に認定し得る事案である。
       また,後者は,被害者が発行済株式全てを所有し(完全オーナー),しかも資本金が3000万円に過ぎないにもかかわらず,死亡時月額300万円(年収3600万円)もの役員報酬を得ており,これを基礎にして逸失利益を請求した事案であって,算定の基礎とする収入額が過大であることが明らかであり,役員報酬中に利益配当部分が含まれることが明白な事案であった。
       なお,中小企業の実情からは,一般に労務提供の状況として代表取締役の年間収入として2000万円程度は労務対価とみても合理性があるというべきところ(甲24。上記札幌地裁の事件において,当時提出した書証と同一のものであるが,「中小企業社長」について記載された内容は,現在でも妥当すると推察される。これによると,中小企業社長の平均像としては,年間総収入が2169万円(5頁以下)であり,年収1000万円というのが社長たる者の必要条件とされている(17頁以下)),後者の裁判例では,労務対価部分として月収180万円(年収2160万円)を労務対価と認めている。
       そのほか,前記札幌地裁裁判例の掲載誌の解説で紹介されている裁判例についても,東京地判平成6年8月30日(判時1509号76頁)は,後継者として代表取締役に就任した被害者の長男である原告の役員報酬が,会社の業績が悪化しているのに飛躍的に増額されていたという事案であり(被害者の役員報酬2697万4000円を基礎収入として主張したのに対し,その6割を下らない年収を下らない年収を得ることができたものと認定。),大阪地判平成7年12月15日(判タ914号215頁)は,被害者が,同族会社の代表者の次男で弱冠25歳で820万円の年収を得ていたという事案であって,いずれも,実収入の一部が実質的な利益配当であることが明らかな事案である。
       後記のとおり,本件では,以上の裁判例のように,収入の一部に実質的に利益配当の性格を有する部分が含まれるような特殊事情は認められない。

   亡Aが代表取締役に就任していた会社の内容,亡Aの職務内容等
       亡Aが代表取締役に就任していた有限会社B電設(以下「B電設」という。)の内容及び亡Aの職務内容は,次のとおりである。
       なお,
   ア 会社の概要
     設立 昭和47年4月10日
                 亡Aは,中学校卒業後,職業訓練校を経て,昭和41年4月に電気工事関連会社に就職し,4社に勤務した後独立し,B電設の経営権を譲り受け,昭和62年6月30日代表取締役に就任した。
     目的 自動制御装置の工事設計及び施工,電気工事の請負及び施工等
                 商業登記簿に掲載された目的の内,近年の中心的業務は,電気工事の請負及び施工である。
     資本金 300万円

   イ 亡Aの職務内容
         亡Aの職務は,会社の基本方針,経営計画の策定,業務全般の調整・統括,組織の変更・人事に関する決裁,毎月の資金繰り,銀行借入の交渉,資材の仕入,取引先の決定・承認,対外的行事・会議の出席,重要文書の承認,資産の取得・処分の交渉・決定等について,取締役である原告X1の経理についての補助を受けながら,中小企業の代表者が担う全ての業務に及ぶものであったことに加え,現場の指導はもとより,従業員2名(うち1名は,原告X2)とともに,自らも電気工事の施工作業にもあたっていた。

   ウ 業績
     平成15年7月1日から平成16年6月30日(乙1)
     a 売上高                 7380万9719円
     b 営業利益                                  66万4925円
     c 経常利益(損失)                         ▲11万3297円
          d 税引前利益                                  13万9914円
     e 当期純利益                                  13万9914円
     平成16年7月1日から平成17年6月30日(乙2)
          a 売上高                 8685万2275円
          b 営業利益                                 230万7614円
          c 経常利益                                  165万0359円
          d 税引前利益                               160万5554円
          e 当期純利益                                160万5554円
     平成17年7月1日から平成18年6月30日(乙3)
          a 売上高               1億0087万4813円
          b 営業利益                                  187万7472円
          c 経常利益                              107万2980円
          d 税引前利益                                 71万9659円
          e 当期純利益                                  71万9659円

     平成18年7月1日から平成19年6月30日(甲22)
          a 売上高                             7696万2795円
          b 営業利益(損失)               ▲8017万8902円
     c 経常利益                3108万7882円
     d 税引前利益                              3108万7882円
          e 当期純利益                              2158万7882円
     * なお,営業損失が発生したにもかかわらず,経常利益が出たのは,亡A死亡により,営業損失を超える生命保険収入が発生したためである。

      エ 亡A死亡時の出資構成(3000株)
     亡A                        2400株
          原告X1                                            600株

   オ 取締役及び報酬(甲23)
     亡A(代表取締役)            840万0000円
      原告X1(取締役)                        120万0000円
    * 本件の場合,そもそも,年収を対比するに適切な,亡Aと近いレベルの業務を担っていた取締役はおらず(甲14,16,18ないし21),かえって,亡Aの稼働状況に照らしても不相当に高額でないでことを物語るものである。

   亡A死亡後のB電設の状況
   ア 亡A死亡に伴い,従来から従業員として稼働していた原告X2が,平成19年5月7日,取締役に選任されたうえ代表取締役に就任した(甲12)。
         また,亡Aの株式は,原告X1がすべて相続した。
        
   イ 役員報酬
     平成18年7月1日から平成19年6月30日(甲23)
           亡Aに,死亡までの10か月間,従前同様1か月70万円の報酬が支払われたほか,
     a 亡A(旧・代表取締役)                700万0000円
     b 原告X2(新・代表取締役)                   86万0000円
             原告X2の給与月額23万円であったところ,代表取締役就任に伴い,報酬月額を43万円と定めた。
     c 原告X1(取締役)                     180万0000円
             期首(亡A存命中)に,報酬月額を15万円に増額された。
     平成19年7月1日から平成20年6月30日
     a 原告X2                                    311万0000円
             代表取締役就任に伴い,原告X2の報酬月額は,43万円と定められたが,亡Aの死亡による経営状況悪化の懸念があったことに加え,業務の習熟度等を考慮し,平成19年8月1日分から報酬月額を28万円に減額された。
     b  原告X1                                  60万0000円
             亡Aの死亡により,経営状況の悪化が懸念されたので,期首に,報酬月額を5万円に減額された。

   ウ 業績
         亡A死亡後,B電設の業績は悪化している。

   以上のとおり,亡Aの死亡前後のB電設の業績,業務全般の調整・統括から仕入や現場の指導に加え自ら施工を行っていた亡Aの稼働状況,報酬額,役員構成等に照らすと,会社役員の報酬を観念的に利益配当部分と労務対価部分に区別できるとしても,亡Aが死亡当時得ていた収入は,すべて労務対価部分というべきものであって,その全てが賠償の対象となると解すべきである。


 3 同について
     被告の主張は争う。
     被告は,《形式的には75歳まで代表取締役に就任し続けることは可能であろうが,年齢に応じた労働能力の減少などから,当然,亡Aが得るべき役員報酬には,利益配当部分や情誼的交付部分等が増加する傾向があることが通常である。》と主張する。
     しかし,死亡の場合の逸失利益の算定は,基本的にフィクションであって,如何なる要素をどの程度考慮するかに必然性はなく,一義的な答えはない。そして,被告の主張する傾向を具体的に相当の確かさをもって裏付ける証拠はない一方,収入のある場合における基礎収入については,比較的若年の被害者について,一定の蓋然性で全年齢平均賃金又は学歴別平均賃金による場合が認められる場合があるほかは,事故前の実収入額によることとするのが原則であることとの均衡上,上記傾向は,基礎収入を認定するに当たって考慮すべき事情とすべきではない。


 4 同について
     被告の主張は争う。
     一家の支柱が死亡し,被扶養者が2人以上の場合,生活費控除割合を原則30%として算定されているのが通例である(平成19年版「赤い本」上巻98頁)。本件において,原則より高い生活費控除率を適用すべき事情は見当たらず,被告が,何を根拠として35%と主張するのか判然としない。


第2 「2 葬儀費等について」に対する反論等
     被告の主張は争う。
     亡Aの葬儀費用等は,亡AがB電設の代表取締役であることに加え,亡A自身の信用がB電設を支えていたことから,支出せざるを得なかった部分が多く,原告らの負担すべき金額を算定するに当たっては,この点を十分に考慮すべきである。

第3 「3 過失相殺率について」に対する反論等
     被告の主張は争う。
     被告は,刑事事件において,《「自分は,進路前方左右を全く確認しなかったのではなく,確認したがこれが不十分であった。」と述べる》が,裁判所が,《夜間ではあるが比較的明るく見通しがよいという現場道路やその付近の状況,被告人車両の進行状況等を踏まえると,被告人が,自車進路の前方左右を注視して,右折先の歩行者の有無やその安全を確認していれば,自車進路前方を横断してくる被害者の存在に気付いたはずである。しかるに,被告人は,左方から横断してきた被害者に自車の右前部が衝突するまで,被害者の存在に全く気付いていなかったというのである。したがって,被告人が上記の安全確認をしていなかったこともまた明らかである。》と判断しているとおり(甲7),進路前方左右を全く確認しなかったものであって,その過失は単に著しいというに止まらず,重過失とも評価すべきものであるし,夜間とはいっても,比較的明るく見通しがよいという現場道路やその付近の状況を考慮すると,被告の主張は失当である。
                                                 



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