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損害賠償について

ラジオ出演

平成22年3月16日(火),北海道のFM局AIR-G(80.4FM)の番組「Vivid Couleur」に出演し,『交通事故で踏んだり蹴ったりにされないための対処』について,パーソナリティの野宮範子さんと,次のようなお話しをしました。

野宮 毎日交通事故のニュースが繰り返されています。被害者は,自分に非がないのに生活をめちゃくちゃにされてしまいます。被害者はどのような形で救済されるのでしょうか。

前田 一旦交通事故に遭ってしまうと,亡くなられた場合はもちろん,怪我を負った場合であっても,完全に元の状態にはもどらないのがほとんどです。
そこで,金銭で補うこと(「金銭賠償の原則」),つまり,被害を,「損害」という形で金銭的に評価し,加害者に賠償金の支払いを求める。通常は,保険会社や自動車共済が加害者に代わって支払う,そんな形になります。

身体は元に戻らないわ,十分な賠償金はもらえないわということになれば,踏んだり蹴ったりのダブルパンチとなってしまいます。適切な対応が必要です。

野宮 今,「損害」という言葉がでてきましたが,どのように考えるのですか。

前田 大きく分けると,「人損」(じんそん)と「物損」(ぶっそん)とに区別されますが,今日は,「人損」,つまり被害者自身に生じた損害について説明します。
たとえにして申し訳ありませんが,野宮さんが交通事故に遭って怪我をし,声が出なくなってしまった場合を例にご説明します。

まず,病院に入院したり,通院したりで,治療費,交通費等の費用がかかります。 本当は出費する必要のなかった費用ですから,損害になります。 被害者が実際に出さなければならないということで,「積極損害」といわれています。

しかし,損害は,このような無駄な出費だけではありません。怪我で働けなくなると収入が減少するのが通例です。この収入減を損害とみるのです(「消極損害」)。

まず,入通院すれば仕事に出られませんし,声が出ないとなると仕事にならず,仕事を休まなければなりません。そうすると,給料とか報酬とかを貰えなくなる場合もあります。休んだ損害ということで,「休業損害」といわれています。

怪我が完治せず,「後遺症」(後遺障害)が残ってしまう場合があります。治療が終わっても,声が出すことができないままになってしまったとか,声が上手くでないようになってしまったという場合です。

そうなると,仕事を続けることが出来なくなってしまったり,ばりばり働けなくなってしまったりで,将来に渡って収入が減ることになることが予想されます。

少し難しい言葉ですが,減ると予想される収入を後遺障害による「逸失利益」といいます。
後遺症が残ってしまった場合には,労働能力が減ると考え,これから働ける期間(原則は67歳まで)の利益を逃してしまったと仮説をたてて損害を考えるのです

野宮 「慰謝料」という言葉もよく聞きますが。

前田 今述べた損害(「財産的損害」)のほか,被害者は,入院や通院をしなければならないとか,後遺症が残った場合には,元に戻らない生活をしなければならず,つらい目にあうということで,精神的に辛いことがやまほどあります。これが,財産的損害と区別して「精神的損害」と呼ばれるものです。
このような精神的損害に対する賠償金を「慰謝料」といいます。

野宮 よくわかりました。
でも,このようにイメージできるのであれば,交通事故に遭ったとしても,損害額もはっきりし,すべて保険でまかなえるように思えるのですか。

前田 保険には,「自賠責保険」と「任意保険」とがありますが,自賠責保険は最低限の保障を目指すもので,特に大きな事故になると,任意保険でないとまかなえません

ところが,任意保険に入っている場合であっても,保険会社もそれ自体営利事業であり,独自の支払基準をもっており,裁判所の基準より低いのです。また,先日も事件になりましたが,交通事故を偽装するような場合もあり,保険会社は,支払には慎重です,

特に,死亡事故であるとか,重い後遺症が残ったような場合は,裁判を起こして裁判所が認めてくれる賠償額と大きな開きが出ること場合が多いのです。

保険会社が提示する示談内容は,裁判所の基準より低い基準によるものですし,裁判では,弁護士費用や遅延損害金など示談提示されない損害も認められることになります。遅延損害金とは支払が完了するまでの利息のようなもので,年5パーセントですからばかになりません。

私の事務所で担当した事件の中にも,重い後遺症の事案で,残額が57万円と提示され,裁判所を起こした結果,2300万円余りの支払を受けることができた事例や,死亡事故の事案で,6000万円弱の提示であったものが、裁判を起こした結果、9200万円余りの支払を受けることができた事例もあります。
詳しくは,私の事務所のHPで具体例を挙げて説明してありますので,参考にして下さい。

野宮 正に「法律は弱い立場にあるものではなく,法律を知っている者に味方する」ということですね。

前田 はい。
被害者の落ち度を考慮して賠償額を減額しろと「過失相殺」が主張されたり,後遺症を認めることができるか,認めることができるとしてどの程度のものと考えるかに争いがあるなど,自分だけでは対応が難しい場面がいろいろあります。
早い時期に,ぜひ一度,専門家にご相談下さい。

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