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事例集

交通事故 取扱事例集

〔裁判所名〕 札幌地方裁判所民事第1部 判決
〔判決日付〕 平成9年6月27日
〔事件番号〕 平成7年(ワ)第5203号
〔事 件 名〕 交通事故に関する損害賠償請求事件
〔登載文献〕 自動車保険ジャーナル第1219号

 

  • 近くの横断歩道を渡らなかった自転車につき,重大な過失ではないとし,将来の介護料を認めた事例(被害者を代理)
  • 本人以外の者からの慰謝料の賠償請求が認められた事例
  • 保険会社(自動車共済)のわずか54万円の残額支払提示に対し,裁判を起こした結果,2300万円を超える支払を受けることができた事例

概要

原告が近くの横断歩道を渡らず無灯自転車に乗って幹線道路を横断中、事故に遭い首から下が不随となった事案です。 自動車共済の最終提示額があまりに低額であったため相談を受け,当法律事務所が担当することになった案件です。

裁判所の認容額(保険会社の最終提示との対比)

本件は,自動車共済の最終提示額は,わずか54万円であったため,裁判を起こした結果,2314万8910円の支払を受け取ることができ,2260万8910円増額となった事案です。
損害費目ごとの金額を対比すると,次のとおりです。

  裁判所認容額 保険会社提示額
治療費 12,829,713 12,820,000
入院雑費 490,000 280,000
休業損害 3,122,696 2,660,000
逸失利益 25,145,916 26,550,000
将来の介護費用 27,189,032 16,190,000
生活装具 61,487 60,000
慰謝料 25,000,000 12,500,000
近親者慰謝料 3,000,000 0
総損害額 96,838,844 71,060,000
(過失割合) ▲30% ▲45%
過失相殺後の損害額 67,787,190 39,080,000
損害の填補 ▲50,748,329 ▲38,540,000
損益相殺後の損害額 17,038,861 540,000
弁護士費用 1,700,000 0
合計(裁判所認容額) 18,738,861 540,000
遅延損害金 4,410,049 0
総計(手取総額) 23,148,910 540,000

現場からのコメント

1 本件は,『自動車保険ジャーナル』(1219)号に「新しい判例」として,紹介された事例です
 裁判所は,「近くの横断歩道渡らなかった自転車」であっても,「重大な過失ではない」として,被告の過失割合を3割にとどめたほか,「呼吸管理の1級3号者」として,「病院入院の介護料」「日額5000円」を認めました。当時としては,病院入院の介護料を認めた事例は珍しいものでした。
 なお,原告側が提出した準備書面の中から,詳しく全体的に述べたものをご紹介します

2 ところが,共済連は,被害者側に,支払残としてわずか54万円を提示。被害者の過失割合4割5分であり,判例があると説明しました。示談交渉であるとはいっても,このような提示や説明はほとんど詐欺に近いものであるといわなければなりません。
このとき,被害者側に渡した文書はこちらです

3 過失相殺
被害者側(要するに,共済連)は,裁判において,さらに増長し,「本件事故の発生については原告Aにも重大な過失のあることは明白である。そして,・・・・・・事故状況を考慮すると,本件においては70パーセント以上の過失相殺をすべきものと思料する」と主張しました。
しかし,裁判所は,次のとおり説示して,このような主張を斥けました。
「被告らは,原告が本件交差点の横断歩道を進行しなかったことは重大な過失であると主張する。たしかに,自転車に乗ったものはその性質上,歩行者に比較的近い立場にあるということができるが,同視することまではできないから,本件交差点の横断歩道を通行した方がよいということはできても,それをしなかったことをもって重大な過失と評価するのは相当でない。・・・・・・これらを前提に,被告と原告の過失割合を考えると被告が7割,原告が3割と認めるのが相当である。」

4 将来の介護費用
現在でも,治療関係費は,病状の改善効果が認められる病状固定までのものを対象とするのが原則であるとされていますが,将来の介護料ということになると,少なくとも当時これを認めた事例は珍しいものでした。訴訟対策として,裁判例を探しても,大阪地裁平成3年1月31日判決・判タ757号217頁(「将来の介護費用を主位的に定期賠償で、予備的に一時金賠償で請求を求めた事例」)が見付かった程度でした。
そこで,介護費用の立証には、ケアプラザ岩見沢という北海道労災特別介護施設のパンフレット(甲35(概要)、36(利用料金))を提出するなど,暗中模索の中で対処をしていきました。
裁判所は,次のとおり説示して,後遺症逸失利益とは別に,将来の介護費用として2718万9032円を認めました。
「原告は,本件事故による後遺障害のため日常生活のすべてにわたり他人の介護が必要な状態にある。しかも,自宅介護になる可能性がまったくないとまではいいきれないにしても,機器による呼吸管理を受けていて医療機関あるいはこれに類する場所で生活するしか考えにくい状況にあり,本件全証拠によっても,将来において,この状況が著しく改善される見通しがあることはうかがわれない。ところで,原告はG病院での入院において,症状固定後の平成8年1月から12月までの1年間で診療費や日用品等の費用として平均月額5万4,973円(1円未満切捨)を負担しており,また,重度後遺障害を負った者を介護する財団法人経営の労災施設に入居した場合(ただし,機器により呼吸管理を受けている者まで受け入れられるのか否かは定かでない。)でも,原告が受領している障害年金の金額からすると,月額10万円前後の入居費用が必要とされる(甲14~26,30,36)。原告X1は,仕事の帰りにときどき原告を見舞っており,原告X1の妻が1週間に一回,原告X2の妻が一週間に二回程度G病院に通い話し相手になるなどして,四肢麻痺で精神的に不安になりがちな原告の面倒を見ており,原告X1の自宅からG病院まではタクシーで1,200円ほど,原告X2の自宅からはタクシーで片道1,600円から1,700円ほどかかる(甲6,8,9~12)。原告は,病状が固定した平成5年10月28日当時57歳であるから,平均余命は27・62年であり(平成5年簡易生命表,弁論の全趣旨)、四肢麻痺の状態で呼吸管理を受けている状態にあるからといってそれよりも余命が短くなる蓋然性が高いことをうかがわせる確たる証拠はない。これらの事情を前提にすれば,原告の症状固定後の将来の介護費用としては,症状固定時から28年間にわたり1日あたり5,000円を認めるのが相当であり,ライプニッツ方式(係数14・8981)によって年5分の割合による中間利息を控除して算定すると,その額は2,718万9,031円(1円未満切捨)となる(算式略)」

なお,前田尚一法律事務所で担当した案件の中に,将来の手術費が認められた事例として,次の裁判例がありますので,併せて参考にして下さい。
○ 居眠り運転の加害車に同乗中事故により十二指腸破裂等の傷害を負い,腹壁瘢痕ヘルニア,胆石症の後遺障害が残った被害者について、損害保険料率算出機構(損保料率機構)の後遺障害等級認定手続を経ていない場合において,医師の診断書,回答書等を基に後遺障害等級9級、労働能力喪失率35%を認めるとともに、損害として将来の手術費等120万円を認め、被告らの好意同乗による過失相殺の主張を斥けた事例

5 近親者の慰謝料も請求したところ,裁判所は,次のように判断し,二人の子にもそれぞれ150万円ずつの慰謝料が認めた。
「原告X1(昭和37年3月23日生)及び原告X2(昭和39年11月28日生)は,いずれも原告の子ですでに結婚をしており,原告X1は運送トラックの運転手を,原告X2は清掃業者の運転手をし,本件事故当時,原告X1が原告と同居していた(証拠略)。そして,原告X1及び原告X2が,仕事の帰りにときどき原告を見舞うとともに,原告X1が,仕事の帰るにときどき原告を見舞うとともに,原告X1あるいは原告X2の妻が,1週間に一回ないし二回程度G病院に通って原告の面倒を見ていることは三5で認定したとおりである。この事実によれば,原告が医療機関等の施設以外で生活することが困難な状態にあることを考慮しても,原告X1及び原告X2がその介護について,物理的,精神的負担を被っていることは否定できないから,原告X1及び原告X2の精神的苦痛を慰謝する必要はあるというべきであり,右の諸事情を前提にすれば,その額はいずれも150万円が相当である。」

6 裁判官を説得して被害者の入院先の病院まで赴いてもらい臨床尋問を実施したことも,大きな効果があったと思われます。

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